ああじゃなくちゃいけないんだろうなあ・・―様々な事務所経営方針を聞いてきて思うこと―Ⅰ
私はこれまで、何十回となくいろいろな経営者や所長さんたちの会社経営或いは事務所経営の方針、考え方、手法といったものを聞いてきた。
いずれも、一本筋の通った素晴らしい方針であり、考え方や手法であった。
みなさん、それまでに何かこれといった「学び」があって、その基本理念のようなものに沿って、ご自分の会社経営なり事務所運営を組み立てておられるようだった。
行き当たりばったりで、自分の事務所経営について、これといった考えや手法といったものを持たなかった私は、
「俺は、ああはいかないなあ・・・でもああじゃなくちゃいけないんだろうなあ・・・」
と、常にコンプレックスを抱いていたのである。
自分の会社や事務所に対する経営上の考え方や手法といったものは、千差万別、十人十色、いろいろあって、そのトップの個性やキャラクターが色濃く反映されている。
講師を引き受ける方々は、ある程度、成功し自信があるから、ああやって人前で披露されるのだろうと思う。
私は自分の経営を振り返ったとき、自分がやってきたことを、あんな風にきちんと整理し筋道立てて、他人に紹介することなどとてもできないなあ、と思っていた。
実際、事務所を経営していても、あれこれと迷うことだらけで、なにかとうまくいかないことも多かったからである。
しかし、だからといって、素晴らしい経営手法や考え方を聞いて、しばしば「ああじゃなくちゃいけないんだろうなあ・・・」と思っても、結局のところ、それを実行することはなかった。
何故だったのだろうか、と振り返ってみる。
総じて、その手のお話をされる場合、特に同業者の税理士先生たちは、ほぼ例外なく自分を律しておられて、かつ勤勉で真面目である。
そんなキャラクターがベースとなっていることが多い。
まあ、それが当たり前なのだろう。
しかるに、とても勤勉かつ真面目とはいえない私は、「なるほど!」と感心はするものの、結局その通り実践しようという気にならなかったのである。
ただそうなると、自分の事務所が経営上何かうまくいかなかったり躓いたりしたとき、
「俺は、あんな風に筋の通った経営ができていないから、こんなことになるんだろうなあ・・」
とさらにコンプレックスを覚えていたのであった。
いい話を聞いても、どちらかといえば、コンプレックスの再生産のような状況に陥っていたのである。
20年以上昔、まだ悩み多かった頃。(ちなみに隣の美人は若かりし頃のカミさんです(^^♪)
つづく