電卓と決算表

中小企業金融円滑化法の要点と対策 ~後編~

◆経営改善計画を確実に実行すること◆

 金融期間に条件変更等を申し出て返済猶予等が始まってから、1年以内に経営改善の計画を作成・実行することになります。計画倒れにしないために、前年の決算においてできるだけ会社の贅肉をそぎ落としたスリムな決算を行うことが望ましいといえます。これは、経営改善計画がスタートした後になって、赤字が顕在化しないようにするためです。

○決算書の中の贅肉を落とせないか

【1】回収見込みのない長期売掛金を貸し倒れ処理する

【2】販売見込みのない不良在庫等を処分する

【3】陳腐化設備、含み損のある固定資産等を処分する

 仮に、前期の決算で贅肉をそぎ落としたことで債務超過になっても、「5年から10年の間に『要注意先』『正常先』になればよい」とされていますので、この期間内に経営改善計画を実行してランクアップを目指します。

 貸し出し条件の変更を受けるために求められている「実現可能性の高い経営改善計画」を作成・実行することは決して容易なことではありません。

 まず、スリムな決算書をベースにして、自社の強み・たとえば営業力・技術力・経営者の財産・資質などに基づいて実現可能な計画を作り上げていきます。

 「会社の未来のために本当の経営改善に挑戦する」という意志で作成することが重要です。