電卓と決算表

年末調整の書き方

前回は大幅変更となった配偶者控除等申告書の書き方をご案内しました。

今回は、扶養控除等(異動)申告書及び保険料控除申告書の内容についてご案内します。

 

まず、扶養控除等(異動)申告書についてご案内致します。

こちらの書類は扶養控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除を受けるために記載する書類となります。



  1.  扶養控除等(異動)申告書 赤枠内

こちらについては給与支払者の欄は会社や個人事業主名、ご自身の情報を記入してください。ただし、給与支払者の法人(個人)番号欄は給与支払者が記入しますので記入してもらいます。

源泉控除対象配偶者や扶養親族がいない場合、ご自身が障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生にも該当しない場合はここだけの記入で結構です。

2. 主たる給与から控除を受ける(扶養控除等申告書 青枠内)

A 源泉控除対象配偶者

源泉控除対象配偶者の欄にはご自身の所得が900万円以下(給与収入だけであれば1,120万以下)であり、生計を一にする配偶者の所得が85万円以下(給与収入だけであれば150万以下)の場合に記載します。また、青色事業専従者として給与の支払いを受ける人や、白色事業専従者でないことが条件となります。

B 控除対象扶養親族(16歳以上)

16歳以上の扶養親族がいる場合に記入します。但し、対象者が70才以上(昭和24年1月1日より前の生まれ)である場合、老人扶養親族の欄の何れかにチェックを付けてください。

・同居老親等とは、あなたか配偶者の親・祖父母で、かつ同居している場合。

・その他とは、あなたか配偶者の親・祖父母で、別居している場合。

また、19歳以上23歳未満(平成8年1月2日~平成12年1月1日生まれ)の人を扶養している場合には「特定扶養親族」に該当しますので、特定扶養親族にチェックを付けます。

C 障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生

ご自身・配偶者・扶養親族の中に障がいがある方がいる場合に記入します。扶養親族の欄には人数を記入する箇所もあるので忘れず記入しましょう。

寡婦(寡夫)の欄は主に母子家庭や父子家庭の方が受けられる可能性が高いですが税理士事務所にて一度確認されることをお勧め致します。

 

 

続いて、保険料控除申告書をご案内します。












生命保険料控除(保険料控除申告書 赤枠内) 

生命保険には一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3か所にそれぞれ計算した金額を記入していきます。

生命保険料の控除額は、契約している保険が旧制度か、新制度かによって計算方法が違います。新旧区分については証明書内に記載がありますので必ず確認をするようにお願いします。

旧制度の場合

2万5,000円以下なら、控除額は支払保険料と同額。

25,001円~5万円以下は、支払保険料の半分+12,500円。

50,001円~10万円以下は、支払保険料の1/4+25,000円。

10万を超える場合は、一律5万円です。

 

新制度の場合

2万円以下なら、控除額は支払保険料と同額。

20,001円~4万円以下は、支払保険料の半分+10,000円。

40,001円~8万円以下は、支払保険料の1/4+20,000円。

8万を超える場合は、一律4万円です。

 

一般の生命保険料及び個人年金保険料については旧制度分と新制度分が両方ある場合、別々に計算し、それぞれの控除額を求め比べた金額の高い方が控除額となりますので一般の生命保険料は(㋑)に個人年金保険料は(㋩)にそれぞれ記入します。

介護医療保険は新旧の選択をする必要はありませんので、証明書の金額を記入し計算を行ってください。(㋺)。

最後に(㋑)+(㋺)+(㋩)を合計し、生命保険料控除額を確定します。控除額は12万円が上限となります。

 

地震保険料控除(保険料控除申告書 青枠内)

 

地震保険料控除には地震保険と旧長期損害保険の2種類がありますのでこちらも別々に計算します。控除の計算方法は、以下の通りです。

※ただし、一つの控除証明書内で地震保険と旧長期損害保険の両方に記載がある場合は、両方を選択することは出来ませんので、どちらか一つを選択し計算を行います。より多く控除を受けられるパターンを選択しましょう。

➀地震保険の支払いのみなら、支払保険料=控除額です(ただし、上限50,000円

②旧長期損害保険の支払いのみなら、保険料が1万円以下なら全額。1万円以上の場合、保険料の半分+5,000円(上限1万5,000円)となります。

最後に ➀ + ② を合算し最高50,000円まで控除を受けることが出来ます。

 

社会保険料控除(保険料控除申告書 緑枠内)

 

社会保険料控除の欄には以下のような保険料の支払いがあった場合に受けられる控除です。こちらは1年間で支払った全額が所得から控除されます。生命保険や地震保険では上限がありましたがこちらには上限がありません。

・国民年金保険料

・国民健康保険料(公的な介護保険料を含みます)

・国民年金基金の掛金

・後期高齢者医療制度の保険料 等

また、社会保険料と聞くと給与から天引きされている社会保険料を思い浮かべる方もいらっしゃるかと思いますが、そちらは勤務先で把握できており、すでに控除対象となっている為こちらに記載する必要はありません。

 

小規模企業共済等掛金控除(保険料控除申告書 黄枠内)

 

小規模企業共済等掛金控除とは、以下の掛金を給与天引き以外で払った場合、その支払った全額が所得から控除されます。

・企業型確定拠出年金(企業が掛金を毎月積立し、従業員が自ら年金資産の運用を行う年金制度)

・個人型確定拠出年金(個人が掛金を毎月積立し、自ら年金資産の運用を行う年金制度 通称iDeCo)

・小規模企業共済(原則 事業主や役員のみ)

・心身障害者扶養共済掛金(障がいのある方を扶養している保護者の方が支払う掛金

 

年末調整は年に一度の事なので忘れている事や、書類の紛失等がよくあります。自分には何が必要かきちんと把握し、スムーズな処理が行えるように事前準備をして年末調整に臨みましょう。