令和7年度税制改正大綱のポイント

令和6年12月20日に令和7年度税制改正大綱が公表されました。
税制改正大綱とは税制改正の要望等を受け、与党の税制調査会が税制改正の方針をとりまとめたもので、毎年12月に公表されます。翌年の2月頃の審議され、3月に成立。4月より施行されるのが一般的です。
今回は、中でも多くの方に影響のある部分に絞ってポイントを解説します。
※法改正までに変更となる可能性がございます。
■個人所得課税
1.物価上昇時の税負担及び就業調整への対応
いわゆる「103万円の壁」に関する改正です。
基礎控除が48万円から58万円に10万円引上げ、合わせて給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に10万円引上げられます。
つまり、所得税が課税されない給与収入額が103万円から123万円へ拡大されることになります。これまで103万円の範囲内で年収を抑える「働き控え」が話題となっていましたが、この改正により緩和されることが期待されます。
2.特定親族特別控除(仮称)の創設)
これまで大学生年代となる19歳以上23歳未満の方がアルバイト等で収入を得る場合、103万円以上の収入があると扶養から外れてしまい、扶養者は特定扶養控除63万円を控除できませんでした。そのため、アルバイトの時間を減らさざるをえない等「働き控え」につながっていました。
今回の改正では、これまでの年収要件が103万円から150万円に引き上げられ、150万円までは63万円の控除を受けることが可能となります。また、150万円を超えた場合であっても、188万円までは、段階的は縮小する形で控除を受けられる仕組みが創設されます。
■法人税
1.法人税軽減税率特例の延長
中小企業の課税所得金額のうち、年800万円以下の部分に適用される軽減税率15%が2年間延長されます。ただし、所得金額は10億円を超える年度は17%に引き上げられます。
2.中小企業投資促進税制の延長
中小企業が対象設備に投資する際に取得価格の30%の特別償却 あるいは7%の税額控除を選択適用できる「中小企業投資促進税制」が2年間延長されます。
3.中小企業経営強化税制の見直し・延長
中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき新たな設備を導入した際に、即時償却あるいは取得価格の最大10%の税額控除を適用できる「中小企業経営強化税制」が2年間延長されます。また、適用条件となる生産性効率の指標が一部見直しされます。
なお、遠隔操作、可視化、自動制御を可能とする投資計画が対象となるデジタル化設備(C類型)は、延長されず令和7年3月末をもって終了となります。
今回は、個人所得税と法人税の一部についてポイントを解説いたしました。
3月の法改正までに変更となる可能性はありますが、税制改正の方針を確認する参考となれば幸いです。