ダウンパーカーの袖を切っちゃうなんて!?!―ダウンウエアの思ひ出―Ⅲ

私がまだ大学生だった50年ほど昔、アメリカ発で日本にも巻き起こったアウトドアブーム。

本格的なアウトドアライフといいた世界に突っ込んでいかなくても、それ専用のウエアが持つ機能的な魅力や丈夫さなどに惹かれて、街着としてのアウトドアウエアブームのような現象が若者中心に巻き起こった。

 

中でも、ダウンウエアはそれまで街着としては見たこともない素材や形状だったので、大いに興味を惹かれた。

こんなものを、普通に街着として利用するなど、それまでの発想からは出てこない現象だったのである。

 

さて、前置きがえらく長くなってしまった。

というわけで、私自身も次第に周りの人たちが着始めたダウンウェアという奴に、大いに興味を惹かれることになってしまったのである。

 

そんな中、なんといっても、最初に「手を出してみようかな?!?」と思ったのはダウンベストだった。

ガッシリしたダウンパーカーのようなものは、南極観測隊とかヒマラヤ登山隊とかが着ている姿を雑誌や映像で観たことはあった。

しかし、それの袖を切ったウエアというのは、見るのも聞くのも初めてであった。

 

今考えてみると、探検隊が着るダウンウェアというのは、フルスペックのその機能で、隊員の命を守るためのウエアという位置づけのものである。

にもかかわらず、その袖をちょん切って、使いやすくてお気楽な街着にしてしまおうという発想のウエアが、ダウンベストなのだ。

 

この大真面目さとお気楽さのギャップに、何ともいえない違和感を覚えたものの、それが却って面白かったのかも知れない。

雑誌などを見ると、半袖のTシャツにダウンベストという、暑いのか寒いのかよくわからないような出で立ちが紹介されていたりして、大いに戸惑ったものである。

 

しかし、このアウトドアウエアブームで火がついたダウンウエアという奴は、留まるところを知らず進化した。

それは、やがて寒い時期に着るカジュアルウエアの定番というポジションを確保したのである。

 

そのうちに、薄手のダウンウエアという、便利なものも登場して、夏場を除くスリーシーズンOKの定番ウエアに昇格したのだ。

また、話が逸れてしまった。私の体験に話を戻そう。

 

   これもアウトドアブームの頃購入したエルボーパッチつきウールシャツ。ペンドルトン製。

つづく