再現性のないカリスマ店員ーDX(デジタルトランスフォーメーション)から、ビジネスの未来を推測するーⅣ

本人の購入情報をもとにして、似たようなユーザーの購入傾向を提示する横軸と、本人の購入履歴をもとに好みそうな商材を提示する縦軸に、推薦商品を自動的に表示するレコメンド機能。

これはアマゾンに限らず、多くのECサイトで実施されているようです。

 

レコメンド機能をさらに解説を加えると次のようになります。

― アマゾンは、このレコメンド機能を実装したサイトの先駆者として知られています。

店舗の店員のように、個々のユーザーに応じて商品を推薦する機能をサイトに実装し、ユーザーの行動をさらに活性化するという点で、DXといえるでしょう。

この場合、ユーザーが次に何を欲するかという、これまでは店員の「知識」「経験」から生み出されてきたことを、デジタルに置き換えたといえます。―

 

上記の「これまでは店員の「知識」や「経験」から生み出されてきたことを、デジタルに置き換え・・・」という点に関して、思い出すことがあります。

かなり昔の話になりますが、父や母が地元のデパートを盛んに利用していた頃、(昭和時代の話です。父はすでに亡くなりましたが・・)あの世代を相手に、自らの持つ知識や経験を駆使して販売につなげるカリスマ店員みたいな女性店員がいたものでした。

 

彼女たちは、父や母の姿を見かけると、獲物を狙う猛禽類のように狙いを定めて声をかけます。

そして、かねてから取り置いていた父や母の好みと思われる商品を取り出して、例えば父の場合であれば

「先生(父のこと)のために、別にして取り置きしていたのよ。いいものはそれにふさわしい人に着ていただかないとねえ・・。ほら、やっぱり、よくお似合いになるじゃありませんか。」

と、機関銃のようなトークで責め立て、販売につなげてしまうのです。

 

たいして購入の予定などがないときには、デパートの出向いても、彼女たちに見つからないようにコソコソ動いた、などという笑えるような笑えないようなエピソードも聞いたことがあります。

とはいえ、客側の父や母としては、自分のことをよくわかってくれている、という点で悪い気はしなかったようです。

 

こういった個人の力量や知見による販売方法は、再現性に乏しくその人間がいなくなったならば、承継されることはありません。

上記の店員のような売り方は極端にしても、こういった「個人」に所属する知識や経験をデジタルに置き換えるというのは、極めて現代的で強力な販売手法といえるでしょう。


             厳しい状況が続くリアル店舗。

つづく