年間労働時間で300時間短く、生産性が1.4倍―現場に考えさせる、決めさせることの難しさ―Ⅰ
先日、インターネットのビジネス系の記事で面白い内容のものを見つけましたので、私の考えと合わせてご紹介したいと思います。
その記事は
―ドイツ人上司に「目標管理が緩いのでは?」返ってきた意外な答え―
というタイトルで、『ドイツではそんなに働かない』(角川新書)隅田 貫著から抜粋されたものです。
この記事は、次のような隅田氏の紹介から始まります。
― 日本より年間労働時間が日本より300時間短く、時間当たり生産性が1.4倍高いドイツ。
ドイツ人の日々の働き方は日本人とどう違うのか?
隅田貫氏(メッツラー・アセットマネジメント シニアアドバイザー)は1985年からドイツで暮らし、2005年にドイツの老舗プライベートバンク、メッツラー社フランクフルト本社に日本人として初めて入社した。
隅田氏が目の当たりにした、生産性の高いドイツの働き方のリアルとは。―
日本のホワイトカラーの生産性の低さは以前から言われていたことですが、年間労働時間で300時間短く、生産性が1.4倍も違うと聞くと改めて愕然とします。
冒頭のタイトル―ドイツ人上司に「目標管理が緩いのでは?」返ってきた意外な答え―も気になるところです。
経営計画をたて目標管理を行なうように、というのは私の事務所でも、顧客にお勧めしているところですが、ドイツ人上司からは、いったいどんな「答え」が返ってきたのでしょうか。
まず記事の冒頭、次のようにドイツの職場と考え方について紹介されています。
―私がメッツラー社に入社して程なく、当主である11代目のフリードリッヒ・フォン・メッツラー氏に初めて挨拶に行きました。(中略)
入社した挨拶をすると、彼は次のように言いました。
「われわれにとって大切なことは、あくまで独立性です。どこからも買収されないし、どこも買収しない。会社が誰のものかという議論は気にしなくてよい。安心して、顧客のために良いと思うことがあれば、すぐに行動してください」―
企業トップが、上記のようなことを最初に伝えるというのは珍しいのではないでしょうか。
企業の独立性を強調し、会社の帰属という課題をまず否定するところから始まるというのは、日本企業やたぶんアメリカ企業では考えられないことです。
つづく