青春の思い出とシンクロしている―文学全集、一家に一セットあると思っていたあの頃―Ⅵ

子供の頃から、何十巻もの百科事典とともにわが家にあったのが「少年少女文学全集」「世界文学全集」「日本文学全集」の3種類の「文学全集」であった。

最初にお世話になった「少年少女文学全集」から始まって「日本文学全集」「世界文学全集」の両方に進み、さらに好きな作家については個人全集まで購入して読みふけったのである。

 

「日本文学全集」「世界文学全集」の両方とも、昭和40年代には編集され、出版されたものだったので、その直前、或いはその後の作家等についてはもちろん収録されていない。

出版後、50年以上経っているから、日本も世界も文学の世界は随分変わったのだろうと思う。

 

そう考えると、私の文学原体験はほとんどアップデートしていなことになる。

ビジネスはともかく、こっちの世界で世の中の最先端をキャッチアップしていないことによって、格別困ったということはなかった。

 

おそらく、今後もそうなのではないかと思う。

今さら、村上春樹を熱心に読もうという気にはなれないのだ。

 

まあ文学に関しては、死ぬまでほぼこういう姿勢で行くのではないかと思う。

ビジネス系に関しては、常に新しい説や切り口といったものを吸収しており、その中で今風の表現や流行りといったものは掴んでいるので、特別困ったということはない。

 

現代作家の中で唯一ほとんどの作品を読んだのは、前述したように庄司薫という作家だった。

彼はすい星のように登場して、その後、そんなに書いていないと思うので、ピークは短かったのではないかと思う。

まだ、存命だとは思うがどのような活躍をされているのであろうか。

 

彼についてちょっとだけ書くとすれば、私の青春の思い出とややシンクロしているということだ。

まず彼の「赤頭巾ちゃん気をつけて」が、1969年の芥川賞受賞作だから、高校2年生くらいの頃だと思う。

ということは、その後、彼の作品を読み続けたのが浪人時代から大学生にかけて、ということになる。

 

「赤頭巾ちゃん気をつけて」は、1970年には映画化されている。

映画館で観たことを覚えているから、おそらく、私が浪人中か大学時代の頃だろう。

映画のヒロイン役の森和代という女優が、超大根役者だったにもかかわらず、スラリとミニスカートの似合う子で、ショートカットの髪と一緒に印象に残っている。(とはいえ、私より年上だが・・・)

 

         庄司薫の作品群。単行本で7冊も買ったのは彼だけか・・・・

つづく

 

今日の川柳コーナー

◆青春の 思い出女優は 今いずこ

◆大根も 許せた若手の あの頃は

半世紀昔の話でございます。