企業側の「本気度」が問われる?―PM(プロジェクトマネージメント)的発想で仕事を考えてみる― Ⅶ
PM(プロジェクトマネージメント)というビジネス手法が、なかなかうまく回らないと言われる日本の大企業。
一つは、純血主義というか自前で何もかも済ませてしまおうという、排他的なマインドがPMの機能や機動性を失わせているという面が大きいと言えます。
もう一つの要因として、PMに対する人事評価の仕組みが、組織の中にちゃんとできあがっていない点が指摘されます。
失敗した場合のセーフティーネットが存在しなければ、積極的に取り組もうという機運が、社員の中に醸成されるはずもありません。
その解決法の一つとして考えられるのがPMO(プロジェクトマネージメントオフィス)ということになります。
PMOが設置されれば、PMの推進は格段に違ったものになります。
私の経験では、昔、東京電力と鹿島建設がジョイントベンチャーで、リゾート開発に取り組んだとき、両社からそれほど遠くない場所に賃貸マンションを借り切って、PMOを設置したことがありました。
私の会社は、様々なプロジェクトの事前リサーチを生業(なりわい)にしていましたので、そのPMOに呼び出されて、リゾート開発プロジェクトの計画の概要を聞くことになったのです。
当時、東京電力と鹿島建設からはそれぞれ専任のスタッフが派遣されて、我々と合流しプロジェクトの推進に取り組んだものです。
このとき、
「ああ、こういう大会社は、こうやってスポットのオフィスを準備してことに当たるんだな。」
と、小さな企業との違いをはっきり認識したものです。
ただ、そうやってPMOを構える、といった手法は採用したものの、プロジェクト自体は、我々の目から見ていても、そこまでの本気度が感じられず、バブル崩壊とともに頓挫してしまいました。
当時は、猫も杓子もリゾート開発に乗り出しており、その中で成功したものは数えるほどしかなかったはずです。
あれから30年ぶりくらいに、このPMOというビジネス手法を目にして、
「昔から無かったわけではないが、今に至っても成功の確率は低いんだな。」
と、改めて思い知らされました。
この「プロジェクト」というビジネス形態と、それに当たる企業側の「本気度」という姿勢の問題は、今後も日本企業に突きつけられる難しいテーマであり続けるかも知れません。
つづく
今日の川柳コーナー
◆飲み屋でも 酒を出すなと 無理を言い
◆飯が出て 食べ始めたら もう8時
緊急事態宣言の鬱陶しさは、いつになったら解消されるのやら・・・