コンサルタントと税理士の明確な違い―追求すべきは「専門性」に裏打ちされた「独自性」―Ⅰ
私が税理士のほかに取り組んでいるコンサルティング業務の師匠であるGさんは、次のようなことをよく言われます。
「いいですか?私たちが提供しようとしているコンサルティングは、基本的には世の中にあってもなくても、どっちでもいいものなんですからね。
コンサルタントである私が明日死んでも別に誰も困るわけじゃありません。
我々はそれくらい一般的ではない独自性の強い難しいものを売っているんです。
そのことはいつも忘れないで下さいよ。」
まあ、師匠であるGさんがこの世からいなくなったら私は結構困りますが、極端な表現をすればGさんの言う通りなのでしょう。
独自性を重んじるコンサルティングは、唯一無二である代わりに、この世界でジャストフィットする対象者もかなり限られる、というわけです。
一方私は、税理士という仕事もしています。
この税の専門家が世の中からいなくなったら結構困ることになります。
税制の複雑さは極まっていますので、日本は自己申告制度とはいえ、中小零細企業まで含めた日本中のすべての経営者が、自らの責任で正確な税務申告することはほぼ不可能でしょう。
世の中から税理士が消えてしまったらおそらくかなり大混乱になると思います。
ただその代わり、日本で登録している税理士の数は7万数千名に及びます。
したがって、仮に税理士が一人いなくなったところで代わりはいくらでもいるわけです。
ここにコンサルタントと税理士の明確な違いがあります。
つまり、独自性を売り物にするコンサルタントは唯一無二の存在ではあるが、いなかったとしても、世の中に与える影響は極めて限定的なものに過ぎない。
それを当てにしていた少数の対象者が当惑するだけのことである。
これに対して、税理士という税の専門家がこの世からいなくなったらかなり困ったことになる。
しかし、自社を担当する税理士がいなくなったとしても、同様の専門的なノウハウを提供できる税理士はいくらでもいるので代わりを探すことは可能である。
つづく
それではお約束の今日の川柳
◆テレワーク 上半身だけ 身だしなみ