「受け手」から「選び手」へ攻守逆転現象―営業、売り込み、CMが敬遠される時代の事業戦略―Ⅲ

広告宣伝や営業に代わる第3の手段として想定されるのが「情報発信(アウトプット)」。

これまでは「情報発信(アウトプット)」の媒体として選ばざるを得なかったのがマスメディアでした。

ただし、そのネックとなったのが高額な媒体使用料(広告宣伝費)だったのです。

 

ところが我々は、インターネットという現代的なテクノロジーが普及したおかげで、SNSなどパーソナルメディアとしての媒体を手に入れました。

ここでは自由に情報を発信することができます。誰に遠慮することもありません。

 

しかも、マスメディアに比べれば、費用は極めて低廉なもので済むのです。

これはそれまでの情報伝達の世界からすれば革命的な変化といえます。

 

また、この媒体の大きな特徴は「双方向性」にあります。

というより、かつてのマス媒体による情報の流れは一方通行であり、それが当たり前、と誰もが思っていました。

一般市民は「受け手」の立場でしかないことを、特に誰も疑いもしなかったのです。

 

しかし今や「双方向性」が普通の状況になりました。

消費者は自分の欲しいものやサービスを「検索」という手段を通じて知り、手にすることができます

 

これは、もの言わぬ大人しい消費者という立場からの脱却を意味します。

消費者は単なる「受け手」ではなく「選び手」になったのです。

 

つまり、冒頭に述べた

「売り込まれることを煩わしく感じ、それから逃げ回る消費者」

ではなく、

「売り込んでくるものには見向きもせず、自分で選んだものだけを購入する消費者」

になったのです。

この攻守逆転現象は、極めて大きな変革だったといえるでしょう。

 

消費に関するイニシアティブが逆転したこんな世の中になったのであれば、売り込む方の立場でもある事業者のみなさんは、いったいどうしたらいいのでしょうか。

何か有効な打ち手はあるのでしょうか。

 

それには何といっても

「こちら側を、選ばれやすい状況に置くこと」

につきます。

相手は欲しいものを、自らの意思で選んでくるわけですから、こちらが選ばれやすい状況にいなければ話になりません。

その状況を作る有効な手段が「情報発信(アウトプット)」なのです。

 

              ネットで何でも買える時代

つづく