恵まれ過ぎていて危機感が足りない?!?―「情報発信」の弱さは産業構造の弱点にまで通じる―Ⅱ
観光のイメージを尋ねたアンケート結果、「食」や「温泉」に魅力を感じている人が少ないことが分った九州。
これは、九州の観光業者にとっては、かなりショッキングな数字だったのではないでしょうか。
というのは、先述のように、おそらく日本人の持つイメージとしては、例えば「温泉」において九州が国内のその他の地域より下位にくるとは思えないからです。
「食」に関しても、日本人であれば、九州の美味しいものに対する期待は大きいのではないでしょうか。
ところが、外国人からは、かなり辛い点しかいただけていません。
これはおそらく、この記事にあるように「情報発信」不足からくることは間違いのないところでしょう。
この記事を読んでいて思い出したことがあります。
それは、ちょうど25年くらい昔、私がまだマーケティングリサーチの仕事をしていた頃のことです。
日本はバブルを迎えて全国的にリゾートブームでした。
外国からの入り込み客数も増えてきて、その実態調査を依頼されたことがあったのです。
そのリサーチでは、いろいろな項目を調べたのですが、その中で、台湾の旅行代理店担当者にインタビューしたことがありました。
すると、その担当者に
「九州は、広告宣伝や売り込みの努力が全く足りない。
例えば、北海道の人たちは本当に熱心です。
それに比べて九州はもともと観光資源に恵まれ過ぎているせいか、ちっとも営業に積極的ではありません。
私から見れば、九州の方がはるかにポテンシャルは高いのに残念なことです。」
と、言われたのです。
当時聞いた「売り込み」とか「営業」という言葉を「情報発信」と言い換えれば、そのまま今の状況に当てはまります。
なるほど、九州という地域の現状を見ていれば、その言葉はその通りかも知れないな、と思います。
観光に限らず、他の産業にしても「情報発信」がまるで弱いのです。
それは、台湾の彼が言っていたように、もともと恵まれ過ぎていて危機感が足りないせいかも知れません。
南九州のきれいな海
つづく