大事な内容が他者にほとんど伝わっていない―すべての取り組みの前に社長がまずやるべきこと―Ⅱ
商売の原点の原点ともいうべき「我が社が存在する」つまり「私はここで商売をしている」という事実をもっとアピールしようよ、というのが、私が長年お客さんに言い続けてきたことであり、別会社まで作って提供しているコンサルティングの中身になります。
「存在」が知られていなければ、その後のいかなる商売も意味がないからです。
さらに、どうせ知られることを目的とするのであれば、より広く、より的確に、よりいい形で知られた方がいいに決まっています。
また、そのための方法論、発信の仕方ということも、普段から取り組むべき勉強や研究の対象であり、大切な要素になってきます。
ところが、私がこれまで見てきた中小企業経営の世界では、特に地方のそれにおいてはこの部分が極端に弱いのです。
己の存在そのものや特徴、何を扱っているのか、何ができるのか、何が得意なのか、また逆に何ができないのか、何が不得意なのか・・・
こういった大事な内容が他者にほとんど伝わっていないのが現状なのです。
それは、長い間、地縁血縁関係の濃い地域社会の中で商売を成立させてきたからにほかなりません。
地方においては、こちらの存在については、周りは既に知っているものであり、わざわざ知らせる必要など誰も感じなかったからです。
ところがその、長期にわたって地方の商売を支えてきた地縁血縁社会が、過疎化と高齢化という2重の逆風によって崩壊しつつあります。
また、きちんと契約を結んだり客観的な数字を重視するという、現代的なビジネス感覚からもかなり乖離したものになっています。
しかも、それこそが「良き関係」とされてきた地縁血縁というのは、ビジネスにおいてもともとそれほど強固なものではなかった、とも考えられるのです。
いったいどういうことでしょうか。
それは、地方におけるビジネス上のトラブルは、狭い地域社会の中で地縁血縁の濃い関係から生じることも少なくないからです。
つまり、近親憎悪的な要因でトラブルが生じやすい環境になっている、ともいえるのです。
田舎のロケーションはいいのですが・・・・
つづく