マスコミはネガティブに煽りすぎる―台風の夜,ただ一人で戦った静かで長い時間―Ⅲ(おしまい)
夜半過ぎにいよいよ本格的な停電になって、今度はなかなか復旧しそうにもないようだった。
仕方なく一度は寝たものの、戻らないままとうとう次の朝を迎えることになった。
冷蔵庫を心配しつつ、フル充電済みのPCを開いて台風情報など見てみると、既に九州の西の海上を朝鮮半島の方へ抜けつつあった。
事務所に通勤できない天気ではなかったが、電気が通じないことには、私の家のガレージはシャッターを開けることさえできない。
また、8時間近く停電したあとの冷蔵庫をうっかり開けて、中の温度を上昇させるわけにもいかないので、朝飯も食えない。
と、そうこうしていたら8時過ぎには電気が通じ、普通の生活に戻ることができた。
外に出てみると、風が舞い上げた木の葉や木の枝が散乱し、家の周りは大変なことになっていた。
吹き返しのためか強かった風も、お昼近くになるとようやくおさまって、太陽の光も戻ってきた。
私は久しぶりに高圧洗浄機をガレージから出して、台風が舞い上げた海の塩水を全身にかぶったであろう我が家を丸洗いしたのである。
午後には、日差しも強くなって、洗浄機で家を洗っているうちに日焼けしてしまった。
まあこうやって、マスコミが「史上最強!!」などと煽り立てていた割には、それほど被害でもなく済んだのである。
新型コロナウイルスにしても、ほかの環境問題などにしても、近年のマスメディアは世の中の様々な現象を、ちょっとネガティブに煽りすぎる傾向がある。
電気の止まった嵐の夜は、ガタガタと風の音は少々うるさかったとはいえ、或る意味静かに過ごすことのできた一夜でもあった。
寝て通り過ぎるのを待つしかない、というのは、心境的には割とシンプルであった。
今年は、9月も半ばになって、台風の直撃を受けた。
このあと、今年これからの台風事情はどうなるのであろう。
ベランダのものを出したり引っ込めたり、家じゅうの雨戸を閉めまわしたりまた開けたりと面倒なことこの上ない。これくらいで終わりになればありがたい。
台風一過のあとはきれいな夕焼けが・・・・
おしまい