トレーナーよりニットが好きだった―サマーセーターというピンポイントの抗いがたい贅沢―Ⅱ

サマーセーターの素材の代表は何といってもコットンである。

暑い季節には、汗を直接吸ってくれるコットン素材にまさるものはない。


細い糸で編んだものは、カットソーとの境目が判然としないほど、しなやかに肌になじんでくる。

逆にざっくりと編んだ太番手のものは、風通しがよくそのラフな風情が魅力である。


コットン素材では、以前トレーナー(スエットシャツともいいますな)が昔全盛時代だったことがある。

お店のロゴとかキャラクターのプリントされたものが爆発的に売れた時代があった。(『ボートハウス』とか『キャプテンサンタ』とかありましたな、確か。)

  これはざっくりと編んだコットンのボートネックセーター。マリンテイストですな。


私は当時も、生地のボリュームがあって、もこもことした着心地のトレーナーよりもサマーセーターを好んでいた。

手入れの簡単なトレーナーの方が、洗濯のときなどカミさんは扱いやすかったのだろうが、私のわがままで、そんなプチ贅沢を楽しんでいたのである。


コットン以外にも、私には素材にこだわりがある。私は、化繊はどうしても肌に合わないので、直接、肌にまとうことの多いサマーセーターは、コットンをはじめそのほとんどが天然素材のものである。


夏場の代表的な素材は、何といっても麻(リネン)ということになる。

麻100%のサマーセーターは、シャリ感があって肌離れがよくいかにも夏の素材という感じが強い。


それから数は少ないが、絹(シルク)もサマーセーターにはよく使われる素材である。

ただ、シルク100%のものになると、サマーセーターの域を出て、使い方によっては1年中着ることのできる素材といっていいだろう。


シルクや麻は、その素材単体よりも、コットンとの混紡で使われることが多く、それらは見た目も少し高級感のあるものになっているのだ。

ちょっと凝って、贅沢な素材使いということでいえば、シルクとリネン、この2つを合わせたものも作られている。

 

 

つづく