30歳近くなって少しだけ挽回することができた―「裏切り」という行為を通して己を振り返る―Ⅳ

学業という点で、なまじっかいけそうな芽があったにもかかわらず、その肝心の学業で、周りや自分自身の期待を大きく裏切ってしまった子供時代。

その後、大学受験、就職などの節目を通じても

「よし、これでなんとか挽回したぞ。」

と思える日はなかなかやってこなかった。


ようやく、少しだけ目途がついたのが、数年の就職生活を経た後、大学院に合格したときだったかも知れない。

勤めながら、税理士資格を取ることの難しさを痛感していた私は、大学院での論文試験にかけようと思っていた。


ところが、その大学院も結構狭き門で、またかつてのように学業において希望するレベルに届かないのか・・・と悲観的になりかかっていたが、ここは何とか踏ん張って合格を手にすることができた。

このときは、「やったぜ!」という気持ちよりは、

「これで、ようやく少しホッとすることができる。」

という安心感の方が強かったのである。


まあ高いレベルで周りの期待に応えた、とまでは言えなかったものの、久しぶりに少しだけこれからの自分に期待できそうなきっかけを得た瞬間だった。

ちょうどこの頃、結婚もしていたので、その後の生活は、結構充実したものになったのである。


とまあ、こんな具合に「期待を裏切る」という点では、小学生くらいまで少しだけ学業成績が良かったために、その後の失速ぶりで大いにミソをつけてしまった私だったが、30歳近くなってやっと少しだけ挽回することができたのだ。


最初に

「みんなの期待を裏切っちゃったなあ・・」

と感じた日から、15年以上の歳月が流れていた。

 

 

つづく