日本がよい社会を築いていけるかどうか、またとないチャンス―日本の産業構造を通じてアフターコロナを考える ―Ⅳ(おしまい)
諸外国に比べて、ITリテラシーがかなり遅れている、日本の政治や行政はともかくとして、自分たちのテクノロジー対応の強化は自分たち自身で図るしかないのが我々民間企業。
それではいったいどう考え、どう行動していったらいいのだろうか。
朝比奈一郎氏は次のように提案しておられる。
―(日本のIT化が遅れている中)目に見える形での起爆剤の一つになりうるのが、「新・首都機能移転論」です。
最新のテクノロジーを思いきり投入した新都市を作ってしまう。
今国会で審議されている「スーパーシティ法案」とも親和的です。
そうした起爆剤からさらに新しい技術、サービスの誕生・成長を促していく。
そういう仕組みづくりが必要になります。
もちろん、需要創出という意味での景気対策にもなります。
コロナは日本の社会的な課題を浮き彫りにしました。
感染のピークが過ぎた今こそが、その課題解消に取り組む好機です。
アフターコロナ・ウィズコロナの時代に日本がよい社会を築いていけるかどうか、まさにこれからの時期の取り組み方にかかっていると言えるのです。―
ここで、首都移転構想が出てくるとは思っていなかったので、私にとってこれは意外な展開になってきた。
もちろんこの規模のお話になると、それこそ国家レベルのプロジェクトであり、政治や行政がリードしていかざるを得ないテーマである。
これまでも、首都移転構想はいろいろと取りざたされてきたが、いずれも途中で立ち消えというより、本格的に議論されることもなかったように思う。
この朝比奈一郎氏のお話はどうなのだろうか?
実現すれば面白い、かも知れないが、東京という都市が既に持っている有形無形の資産はそう簡単に代替できるものではない。
これまでの話がほとんど立ち消えになったのも、この「替えが効かない」という理由が大きかったのではないだろうか。
ここまでの大きな話を実現するかどうかは別として、朝比奈氏が言われるようにアフターコロナ・ウィズコロナは、時期的にまたとないチャンスだろう。
我々民間企業もここで後れをとらないよう果敢にチャレンジする必要があるのだ。
世界に後れをとらないように・・・・・
おしまい