日本企業凋落の原因を探る―「ジャパンアズナンバーワン」の栄光はどこへ行ったのか!?!―Ⅳ
会社のサポーターというべき安定株主で過半数が構成されている日本の上場企業。
ここでは『「株主総会で取締役を選ぶ」、「取締役会の互選で代表取締役を選ぶ」』という原則はほとんど機能していない。
そんな仕組みということがわかると、後継者社長に、本当に能力が高くて優れた人材が抜擢されるのかどうか心配になってくる。
その点について、植田氏は次のように述べておられる。
―3. なぜ現役社長は、仕事ができない人間を指名するのか
現役社長が後継社長を指名すると、自分自身は会長になる。
会長は、いわばリタイアした社長。業界活動などの社外活動に励み、会社の意思決定から離れるというのが建前だ。
しかし、多くの会長は、そう簡単には枯れない。
いかにして後継社長を通して会社の経営に影響力を残せるかを考える。
影響力を残すためには、自分の言うことをなんでも聞く子分を後継に選ぶのが正解だ。
会長になっても、自分に敬意を払ってくれる奴、自分の言ったことを忠実に実行してくれる奴を選ぶ。
こういう奴は、ソンタク人間、周りの人の意見をよく聞く人である。
俗にいう「人望のある人」だが、実は、多くの人の意見を聞き、皆の顔を立てすぎて、「何も決められない人」でもある。
実力派の副社長などはもってのほか。
せっかく自分がやってきたことを否定して、新しいことをやり出す奴などは絶対ダメだ。
できれば、ヒラの取締役、常務に上がったばかりの奴、自分と5、6歳年が離れた奴、新入社員のときに自分が指導して一人前にしてやった奴、気ごころの知れた奴を指名したい。
そうすれば、「よくぞ私を社長に選んでくれました。この御恩は一生忘れません」と死ぬまで忠誠を尽くしてくれる。―
私は上記の記述を読んで、
「うへぇー!日本の上場企業は、漫画チックに典型的な権力構造ができあがっているんだなあ・・・」
と、思わされた。
これまで私は、後継者をめぐる権力争いやあまり表には出てこないが、絶対的な院政を敷く会長の存在などというのは、ドラマや映画の中の出来事とかと思っていた。
しかし、ひょっとしたらドラマ以上に日本企業におけるこういった因習の根は深いのかも知れない。
「よくぞ私を社長に選んでくれました。この御恩は一生忘れません」
などという時代がかったセリフなど現代社会にあるのかいな、といいたくもなるが、この構造の中では、それほど不思議ではないのかも知れない、と思わされる。
つづく
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