コート、コート、コート・・・・コートについて思い出すことⅦ
学生時代のそんなスッタモンダを経て大学を卒業した私は、新宿の公認会計士事務所に就職した。
もちろん、イメージ通り、堅い仕事である。
顧客にそんなに大きな企業はなかったが、月々訪問して会計処理をしたり、相談に乗ったりしなければならない。
そのときになって初めて、ちゃんとしたビジネス用のシンプルなコートを持っていない、ということに気がついた。
ビジネス用といえば、なんといってもシングルのステンカラーコートであろう。
そんなコートが1枚欲しいなあ、と思ったが、いかんせん安月給で金がない。(何にもできないペイペイの学生からの就職だったとはいえ、それにしても安かったですわ)
学生時代よりも、基本的にはカネがかかるようになったにもかかわらず、使えるお金は以前に比べて減ってしまったのである。
仕方がないので、何かしらセール品のようなものはないかと探していた。(今みたいに「ユニクロ」とか「洋服の青山」とか各種通販とかはなかったのだ)
そうしたら、どこかの大きな会場でIVYファッションブランドの「VAN」がセールをやるという広告を見た。
当時、VANは倒産の憂き目を見ており、あちこちで見切りセールみたいなことをやっていた。
武道館だったかどこだったかはっきりと覚えていないが、その大きなセール会場に行った私は、プレーンなVANブランドのシングルステンカラーコートを見つけたのである。
確か値段は7千いくらと破格に安かった。
素材が、ポリエステル混紡というところが気に入らなかったが、とにかくビジネス用シングルステンカラーコートを手に入れることができたのである。
とはいえ、化学繊維混紡の安っぽさはいかんともし難い。
以前買ったバーバリーのトレンチコートがそうだったように、コットン100%の風合いが好きな私は、その後ボーナスとかがまともに貰えるようになったとき、もう少し上質なものに買い替えたのである。
昔のアルバムにこんなのがありました。パンタロンを穿いてゲームセンターの前で。時代やなあ・・・
つづく