ボトムアップパワーの衝撃―風通しの良い組織こそ21世紀のあるべき企業像では?―Ⅰ

何十年ぶりかに、顧問料の値上げをお客さんにお願いすることになった。

消費税に軽減税率(8%と10%が並立するというあれのことです。)という複数税率が導入されることとなり、業務の複雑化が半端ではないことが予想されたからである。

 

実際現場では、かなりややこしいことになっているらしい。

予測はされていたことではあるが、対応の遅れた地域もあったようである。

先日も、今頃になってから「消費税セミナーをやってくれませんか?」というオーダーが商工会から来たくらいである。

 

さて、現場の職員たちはこの事態を予測して、私に

「やむを得ません。お客さんに、顧問料の値上げをお願いしましょう。」

と言ってきた。

最初に彼らから打診があったのは、消費税が改定されるだいぶ前である。

 

それを聞いても、私の胸のうちは苦しかった。

というのは、消費税増税、特に軽減税率の導入は、事業者の現場における負担は増えるものの、プラスになるものは何もないからである。

処理作業の負担が増えた上に、料金の値上げは苦しいのではないか、と私の方で忖度したのだ。

 

しかし、今回の職員たちからの要望は強力だった。

彼らの主張する要旨はこうである。

 

「所長、今までも2回の消費税増税の際に、うちの事務所は値上げしていません。今回お願いしなかったら、またそういったチャンスを失うことになります。実際私たちの事務負担は増えていますし、世の中の人件費その他の物価も上がってきています。」

 

といった極めて論理的な要望が上がってきたのである。

値上げに関する計算根拠も彼らの方から示してきた。

 

こうなったら私も決断せざるを得ない。

「わかった。今回はよく説明して、お客さんの理解を得ることにしよう。」

と、彼らからのボトムアップ提案に乗ることにしたのである。

 

 

つづく