移民は短期的には財政負担となる?!?ー移民について考えるーⅢ
ジョージ・ボージャス氏が唱えた移民に関する理論では、総体としての富は純増するが、社会福祉という問題が一方で持ち上がってくる。
この問題に関して、ジョージ・ボージャス氏は次のように述べておられる。
―受け入れ国が福祉国家である場合、移民余剰となる利益は移民による社会保障サービスの利用に伴う損失で相殺される可能性がある。
移民が受け入れ国の国民よりもそうしたサービスを利用しがちであることはほぼ間違いないことで、移民は短期的には財政負担となる。
ただ長い目で見れば、移民は財政面でプラスの存在かもしれない。(略)
移民は納税者となり、税負担を緩和するかもしれない。
ただ、多くは想定される将来の税収や政府支出の推移に左右されるため、移民がもたらす長期的な財政上の利益を想定することは極めて困難だ。―
福祉国家としての制度が整備されていればいるほど、社会的弱者に対する措置は手厚いものとなる。
この点は、日本においても将来起こりうる課題として肝に銘じておく必要があるのではないだろうか。
ジョージ・ボージャス氏が、その点について
「移民が受け入れ国の国民よりもそうしたサービスを利用しがちである・・」
と述べているのは、こういった給付が増大する可能性が不定できないからだろう。
確かに、長期的には回収される可能性がないわけではないが、その点は不確実である。
一方、短期的に社会保障費が増大するという点に関しては、ほぼ確実に予測できるのだ。
ただ、この理論は、弱者という立場から見れば、極めて穏当さを欠いているようにも見える。
その点について認めながらも、ジョージ・ボージャス氏はさらに論理を展開しておられた。
つづく