「パリ国際会議」に出席して―久しぶりのヨーロッパ短期滞在見聞録―Ⅴ
さて、ロンドンのヒースロー空港にようやく着いた私たちだが、旅の目的地はロンドンではない。
ここからパリへと飛ばなければならないのだ。
ところがこのヒースロー空港がやたらと広い。
空港内を電車で移動するのだ。
到着したCゲートから手続きが行なわれるAゲートへと移動する。
勝手がわからないと、こんなちょっとしたあれこれもドキドキものである。
なんとかイギリスからの出国手続きも済んで、日本の国内線と同じくらいのパリ行き小型旅客機に乗り換えた。
ところが、こいつがいつまでたっても離陸しない。
滑走路に出るまでに1時間以上待たされた。
狭い機内で私は猛烈に気分が悪くなってきた。
以前にも何回か味わった嫌な気分である。
暑い!けど冷汗が止まらない。
「頼むから降ろしてくれぇ―!」
と叫びたくなる直前でようやく離陸となった。
飛び立ってしばらくすると海の上に出た。
ドーバー海峡である。
飛行機だと数分で超えることができるのだが、ここを泳いで渡るのはとんでもない挑戦だ!と少し荒れた暗い海上を見て思わされる。
フランス側に渡ると、ほとんど山はない。
のっぺりとした平野が続くのみである。
しばらくのフライトで、飛行機はシャルルドゴール空港に着いた。
所要時間、約50分。
飛び立つまでやたら待たされた時間より、こっちの方が短かった。
フランスの地を踏むのは初めてである。
入国審査を経て空港の外に出ると、すでに日が傾いており気温も低い。
私たちは準備されたバスに乗って、夕日に照らされながらホテルへと向かった。
ホテルの部屋には羽田空港で預けた大きなトランクが既に着いていた。
添乗員さんに「今日は、おやすみになるまで各自自由ですよ。」と言われていたが、何をどうしていいか、勝手がわからない。
今ご飯を食べたら、日本にいたときの朝飯なのか、昼飯なのか、晩飯にあたるのかさえ判然としないのだ。
シャルルドゴール空港から見る夕日と走るバスから撮ったパリ郊外の夕焼け
つづく