「パリ国際会議」に出席して―久しぶりのヨーロッパ短期滞在見聞録―Ⅲ
適当な時間になったので、ゲート内に入る。
出国手続きを済ませて中に入れば、羽田空港とはいえ、そこはTAXFREEの世界である。
様々なショップが立ち並び、これから帰国する人はここでショッピングをするのであろうか。
N先生が「カードラウンジでくつろごうよ。」とおっしゃるのでついていったが、ここでクラス社会の洗礼を受けることになった。
国際空港内のカードラウンジは、実に細かく分かれており、持っているカードの格によって使える場所に明らかな差がつけられている。
N先生はいろいろなタイプのカードを持っておられたが、私は1種類しかない。
そうすると、例え同伴でも上のクラスのラウンジには入れないのである。
3か所ほどたらい回しにされて、結局一般大衆向けのラウンジに落ち着いた。
なるほど、
「ちょっとでも国際的な交流の場に出た途端、こんな風にクラス分けが明確になる訳ね。」
と、妙に感心する。
欧米的な文化の、最も分かりやすい一つの面だろうな、と思った。
ウロウロしたので、それほどラウンジでくつろぐ間もなく、我々は飛行機に乗り込んだ。
N先生はビジネスクラスなので、搭乗案内も早い。
そこで分かれて、私はエコノミークラスの席へと座った。
我々は、まずロンドンまで飛んで、そこで乗り換えてパリへ行くのだ。
機内放送でロンドンまでは12時間の飛行だという。
「12時間か・・」フッとため息が出る。
この歳の12時間はいささかきつい。
ただ幸いだったのは、3人掛け席の通路側だったことだ。
トイレにはたびたび立つだろうから通路側というのは助かる。
歳を重ねると、こういったことが重要になるのだ。
国際線ターミナルのラウンジから眺めた羽田空港の風景
つづく