若い世代は出だしでやる気が失せてしまう―劣化したオッサンさんにならないために―Ⅲ

この書評の中で特筆すべきは「年長者への対処の仕方」である。

先代が劣化したオッサンになっていた場合、後継者はかなり苦労することになる、と書いたが、「年長者」というのは、先代を含めたすべての「目上の人」を指す。

日本の場合、特にこの「目上の人」が厄介な存在なのである。

 

その点について、この書評では次のように述べられている。

―日本には「年長者は尊敬すべきである」という暗黙のルールがある。

しかし年長者ほどスキルや判断能力が高いというデータはじつのところ存在しない

したがって「年長者は尊敬すべきである」というのは、わたしたちの儒教文化に根差した「信仰」だといえる。―

 

「年長者は尊敬すべきである」というのは、儒教文化が根深く残っている日本の特徴なのだろうが、それは地方においてなお顕著である。

なおかつ、家庭や遊びの場でももともとその傾向はある上に、仕事の場において特にそれは強く表現されるのだ。

 

この書評によれば、ある調査結果では、日本は「年長者に対して反論するときに感じる心理的な抵抗の度合い」が相対的に高い国として分類されているらしい。

一方でイノベーションランキングの上位にくるのは、年長者に対して反論しやすい国ばかりなのだそうである。

 

地方の中小企業を見ていると、息子や若い世代の部下が新しい情報や技術、仕組などを持ってきても、権限のある先代がそれに対して一発でOKを出すことはまずない

それまでの価値観ややり方と比較して、ひとくさり文句を言ってつぶしてしまうか、認めるとしても極めてしぶしぶという傾向が強いのだ。

 

これでは、仮に認められたとしても、若い世代は出だしでやる気がかなり失せてしまうか腐ってしまうことになりかねない。

そういう実例を私は嫌というほど見てきたのである。

 

 

つづく