ほとんど進歩がなかった30年??―BtoB企業の現状に学ぶマーケティング―Ⅺ
さて、話が逸れてしまいました。
日本においては、「村社会」をベースにすべてのコミュニティーが形成されてきたという歴史が長かったために、企業においても官庁においても或いは業界においても「変革」ということがなかなか難しいのかも知れません。
特に「マーケティング」というのは、狩猟民族的に必要なものを取りにかかる、という踏み込んだマインドが不可欠になります。
そんな背景もあって、日本の社会には簡単には根付かないのでしょうか。
とはいえ、世界のビジネス情勢を見ればそんなことは言っていられません。
この点について庭山教授は次のように述べておられます。
―欧米のように、大学でマーケティングを学び、マーケティング部門に採用されて経験を積み、大学院に戻ったり他社に転職したりを繰り返しながら、マーケティングの専門家としてキャリアを積み重ねる人材が豊富な企業と戦うには、あまりに貧弱な状況といえます。―
ただ、これを読んでいると少し不思議な感じを受けます。
私が東京でマーケティングリサーチの会社を起業して、気道に乗せたのは、既に30年近く昔の話になります。
当時も仕事を受注しながら、企業の担当者から
「これからの時代、マーケティングが大事だよね。」
的な言葉を何回も聞きました。
またそう思っていたから、我々のような小さな会社に、今から考えれば信じられないような大企業が次々と発注したのだと思います。
にもかかわらず、庭山教授が言われるように、いまだに日本企業のマーケティング事情は「あまりに貧弱な状況」なのでしょうか。
とすれば、日本企業はこの分野においてほとんど進歩がなかった、ということになります。
尤も今回は、BtoB企業に限ったお話ですので、少し事情が違うのかも知れません。
BtoC企業においては、マーケティングのノウハウももっと進んでいると期待したいものです。
つづく