いかにもプアな日本企業のマーケティング体制―BtoB企業の現状に学ぶマーケティング―Ⅹ
企業資源としてのマーケティング体制に乏しい日本企業。
こういった現状に対して庭山教授は警鐘を鳴らされます。
この点について、次のように表現されています。
― 残念ながら日本企業の現状は、マーケティングの部署は作ったものの、人は他部門からの異動でマーケティングに関する知識や経験を持っておらず、そもそもマーケティング部署で何をやるかも明確に決まっていないので、ほとんど成果が上がらないといった実態が少なくありません。―
これは日本企業によく見られる現象かな、と、私も思います。
マーケティング部門に限らず、これに似たような話はよく聞くからです。
それは次のようなことになります。
世間で流行っている、或いは注目されている、といった事象に対して
「わが社も乗り遅れてはいかん!」
と、踏み出すのですが、もともとよくわかっていないので、間に合わせ的にデキトーな人材を当ててしまう、ということです。
これでは、その部門がうまくいくわけがありませんし、振られた人材も何をやっていいのか見当がつかずつぶれてしまう・・・
こういった現象は、実は企業に限ったことではありません。
おそらく日本においては「業界」という単位でもよく起こることなのではないでしょうか。
私は税理士業界において、何回か新しい試みを行なう部門を担当したことがありますが、いずれもその本質的な部分に到達する前に、いかにも業界らしい解釈で方向がおかしくなってしまい、当初の目的とは全く外れた着地点になってしまった苦い経験があります。
それはおそらく、何となく世の中のニーズがありそうだ、と思ってそれを振り出した上層部の人間も実はよくわかっていなかったということだったのでしょう。
また、その新しい試みについてほとんど理解していない担当者を選んだ、ということもうまくいかなかった一つの要因でした。
つづく