意図的に流行を作り出しているファッション業界―脇役の主役、パンツの歴史を振り返る(流行の兆しはいつもズボンに・・)―Ⅴ
さて、パンツを語るときにどうしても外せないのが、そのシルエットについてである。
パンツのシルエットは時代によって、太いの細いのかなり変化がある。
昔のファッション誌などめくってみると、その違いは一目瞭然だ。
パンツ事態の太さもあるが、プリーツが入っているかどうかでも大きく異なる。
私がまだ若い頃、大学生くらい(1970年代ですが・・・)まではIVY調のファッションが主流で、プリーツの入っていないストンとしたシルエットが一般的であった。
その後、プリーツの入った少し太めのものが出てきたときに「こいつは楽そうでいいや!」と思ったのを覚えている。
それから男のパンツは、ワンプリーツ、ツープリーツが当たり前の時代になって、しばらくはそんな太めのシルエットが続いたのである。
1980年代も半ばになったころからだったと思うが、また、プリーツなしのストンとしたシルエットが蘇えってきた。
このストンとしたシルエットはパイプドステムといって、男性の下半身を細くスッキリと見せる。
ところが、年を追うにしたがってこれがさらに細身になり、しまいにはふくらはぎにまとわりつくくらい過激な細いシルエットになったのである。
素人の私でも、この変化を見たときに
「ああ、ファッション業界というのはパンツのシルエット一つにしても、意図的に流行を作り出しているんだなあ・・・」
と思ったものである。
不思議なもので、シルエットがこのうんと細くなった時には、普通の太さのものを穿いていても、どことなくやぼったく見えるのだ。
パンツという奴、やたら大事に大事に長く穿いていても、あんまり意味がないのかなあ、とも思わされるのである。
一時はもっと細いパンツもありました。
つづく