成功体験という魔物―賞味期限の短いノウハウがエラソーだった日々―Ⅰ

 

2代目3代目の後継者が先代とぶつかるとき、最も悩まされるのが「成功体験」という魔物かもしれません。

こいつがいるばっかりに、妙に自信たっぷりだし、言うこと聞かないし、新しいこと受け入れようとしないし・・・といった様々な困った現象が起こっているのではないでしょうか。

 

「成功体験」というのは、過去の遺物であるビジネスモデルの、いわばエッセンスみたいなものです。

もはや通用しないモデルであるにもかかわらず、その栄光があまりにも華々しかったために、にわかにはチェンジが効かないというヤバい状況に陥っているのです。

 

後継者はこの厄介な魔物で武装した先代と戦わなければならない、という言わばハンディーを背負っているわけですが、この「成功体験」にもなにかプラスの効能はないものか、と考えてみました。

そこで思いついたのが、こいつを詳細に分析してみることで、その逆張りを行なえばいいのではないか、ということなのです。

 

現代には通用しないばかりか、阻害要因にさえなる「成功体験」という魔物。

こいつにはいったいどんなバリエーションがあるのでしょうか。

その最たるものを考えてみました。

 

私が東京を引き払い、田舎に帰ったときに、特に母に強く言われたいくつかのことがありました。

今思い出してみれば、それが父や母、もっと言えば地方の経営者が事業の業績を伸ばし続けていたときのモデルだったような気がします。

 

「田舎ではこれをやっていれば間違いがない。だから、あなたも私の言う通りに実行しなさい。」・・・母は自信たっぷりでした。

多少の疑問はあったものの、その勢いに気圧されたことは確かです。

 

その内容は、いくつかに分類することができます。

これは母だけが唱えていただけのモデルというわけではないので、拾えるだけ拾ってみて分析をかけてみたいと思います。

 

 

つづく