意外に脆弱な民主主義―民主政治の危機、その脆弱さについて考える―Ⅳ

細谷教授は、民主主義の崩壊の典型的な事例としてワイマール憲法下のドイツを取り上げておられた。

1930年代、ドイツでは民主的なワイマール共和国が崩壊して、ヒトラーの独裁体制が成立したのである。

ここに至る経過を細谷教授は次のように述べられている。

 

―我々は1930年代のドイツで、民主的なワイマール共和国が崩壊して、ヒトラーの独裁体制が成立したことを知っている。

当時のドイツ紙の社説は、ヒトラーという奇妙で危険な指導者が登場しても、ワイマール共和国の先進的な憲法や強固な議会制度が、民主政の崩壊を阻止してくれるだろう―と楽観していた。

しかし、ナチスは民主政を内側から腐食させ、短期間に崩壊させた。

それは民主政の「死」であり、「終焉」だった。―

 

なるほどこれを読むと、あのヒトラーが登場した当初は、ドイツでも民主主義に対して、極めて良識的な見解が一般的だったことがわかる。

「奇妙で危険との評価だった、あの男がまさかドイツを破滅の道へ向かわせるとは・・・」

といったところだろうか。

 

そう考えると、歴史を積み重ね、今は強固に見える各国の民主政も意外に脆弱なのかも知れない、と危惧せざるを得ない。

アメリカにおけるトランプ大統領の暴れっぷりと、彼への支持層の意外な厚さを見ていると、さもありなんと思えるのである。

 

そこで、強面(コワモテ)の代表として、どうしても頭にまず浮かぶのがロシアのプーチン大統領であろう。

彼の政権下、どうやら多くの政敵や反乱分子が暗殺されているらしい、というのはつとに有名な話である。

 

GDPなどの国力においては、世界でさほど上位ではないロシアが常に一定の存在感を発揮しているのは、彼の強力な指導力のたまものでもあろう。

こういった現象に、今は民主政を敷いているが、国の運営に歯がゆい思いをしている世界の他の国家の国民がなびかないとも限らないのだ。

 

つづく