決して真似のできない意地と我がまま―昭和のプライド?ジュリーの矜持―Ⅲ(おしまい)
沢田研二は今の若いタレントたちからすれば背丈もさほど高くないし、どちらかといえば太りやすい体質だったようで、スラリとした足長の体形でもなかった。
しかし、ステージに立ったときのオーラは別格だったのである。
そして、その特別感を長い間キープし続けた、というキャリアが、彼の業界におけるポジションを決定づけたのではないか、と思う。
今回の事件では、彼のその独自のポジションが免罪符となった。(と、私は思う。)
「ジュリーがそう言うんだったら仕方がない・・・」と。
世代も近くヒット曲も同様に出していると言っても、同じことを例えば和田アキ子がやったならば、とてもこんなことでは収まらなかっただろう。
同じく布施明あたりがやったとしても、やはりただでは済まなかっただろうな、と思う。
謝罪のインタビューで
「申し訳ありませんでした。これが今の私の実力です。会場がいっぱいにならないんだったら、小さな箱でもいい、と主催者側には言っていたんです。空席が目立つというのは、自分のプライドが許さなかった・・・・」
といった内容のことを言っていたのも、騒動が小さく収まった要因だったかも知れない。
素直に謝り、自らの矜持についても正直に話したからである。
決して意図的ではなかっただろうと思うが、このことで沢田研二は再びファンの意識をグッと自分の方に振り向かせたのではないだろうか。
「私たちも、もっと頑張ってジュリーを応援しなくちゃ・・」
と、おそらく火がついたのではないか、と推測できる。
もう準備を始めているという「お詫びコンサート」は、たぶん満席なるだろう。
良い子のタレントには決して真似のできない芸当。
昭和のプライド、意地と我がままを通した沢田研二。
騒動が収まってみて初めて
「こんなことが許されるのはジュリーだけかもなあ・・・」
と思わせる出来事だったのである。
おしまい