日欧と同じ価値観を共有する国インド―「歴史問題」に拘らない国々との協定― Ⅲ

インドと日本は近年特にその関係を深めているようである。

その点について、山崎氏は次のように述べておられた。

―日欧を凌駕しかねない文明を誇り、それを基盤に日欧と同じ価値観を共有するこの大国の存在を日本が真剣に意識し始めたのは近年のことのように思われる。(中略)

日本のインド洋開発は広範にわたる。

ミャンマー、スリランカ、バングラデシュに港湾を整備し、地域の貿易振興を図るのを始めとして、インド国内への資金、技術援助にも行き届いた配慮を示している。―

 

ここに述べておられるように、インドが日欧と同じ価値観を共有する、ということの意義は大きい。

ここが、同じ人口大国である中国との決定的な違いである。

話が普通に通じる、という利点は計り知れないといえよう。

 

山崎氏は触れておられなかったが、理数系に極めて強い、という民族的地頭の良さも大きな魅力の一つだろう。

今やインド人スタッフのIT企業などにおける存在感は不可欠なものになっている。

ただ、優秀過ぎて世界中に分散し、日本企業が彼らを使いこなせないのではないか、という危惧は若干あるが・・・・

 

また、歴史的には、先の戦争における日本の役割が、インドにとって、長年のイギリスの植民地支配から完全に脱却するきっかけになったという点も大きいのではないだろうか。

同じ有色人種として、彼らが日本に対して抱いているであろう親近感も、両国が良好な関係を築くための重要な要素となっているのではないかと思うのである。

 

山崎氏が懸念しておられたのは、アメリカのインドとの関係構築が軍事面でのそれに傾きすぎていることであった。

これに対して、記述にもあるように日本の外交においては広範な協力関係を築いており、こういった配慮が今後の両国の絆をより強めていくことが期待されるのである。

 

 

つづく