企業が培ってきた様々な無形の資産をアウトプットする―社長の捻り出すストーリーが未来を作る―Ⅰ
 

 

私は、会社が創立以来培ってきた使命感、理念、哲学、こだわりといった様々な無形の資産を、経営トップである社長が「ストーリー」という形で情報発信すれば、それだけで事業の発展に貢献しますよ、といったことをこれまで繰り返し述べてきました。

もちろん必ずしも「ストーリー(物語)」という形式にこだわる必要はないのですが、わかりやすい表現としてこの言葉を使っています。

 

要は情報発信することが大切なのであって、あまり形に捉われ過ぎては意味がありません。

企業がそれまで培ってきた様々な無形の資産を、何らかの伝わりやすい形でアウトプットすることに意味があるのです。

 

そうすると、必ずこういったことを言う人が出てきます。

「それって所詮懐古趣味なんじゃないの。俺は過去を振り返っている暇はないよ。未来志向なんだ。」

といったご意見です。

「これまで」に軸足を置くよりも「これから」に軸足を置くべきなんじゃないか、という考え方です。

 

なるほど、それはそれで結構なことです。

未来志向を私も否定はしません。

ただ考えていただきたいのは、何を振り返り、どう活かすか、なのです。

うっとりと過去の思い出に浸りましょう、などと言っているのではありません。

 

せっかく、これまで積み上げてきたものの中に、その「未来志向」に使えるものがあれば、それはしたたかに使っていきましょうよ、活かせるものがあれば活かさなければもったいないじゃないですか、という考え方なのです。

これは、或る意味極めて能動的でかつ戦略的な考え方であり、決して懐古趣味などではありません。

 

 

つづく