何かメリットはあるの?―なぜ「損得」で判断するのか―
 Ⅰ

 

先日、私の所属する税理士会のある会合でのことです。

役員の先生からこんなお話がありました。

 

租税教育推進協議会(通称『租推協』と言っており、税務署、市役所、学校関係者などで構成された租税教育に取り組んでいる団体)からこんな打診があったというのです。

「税理士会も賛助会員ではなく、正会員になりませんか?」

・・・こういうお誘いがあったらしいのです。(ちなみに「税理士会」は、『租推協』の正会員ではなく賛助会員です)

 

これに対して、税理士の役員会で検討したらしいのですが、ある役員から

「『租推協』に入ることで、どんなメリットがあるのだ?」

という質問が出たということでした。

これに対して、会の中で少し揉んでみた結果、特段のメリットはない代わりに、まあデメリットもない、という結論になったようです。

 

で、その結果、回答としては、正会員になってしまうと賛助会員に戻ることが難しくなるのでやめておこう、ということになったという話だったのです。

私はこの話を聞いて愕然としました。

「えっ!やめることにしたの?・・」

私は、この話の中の

戻るのが面倒になるからやめておこう・・・ああ、いかにも税理士らしい結論の出し方だなあ。」

と、思ったのです。

 

「しかし、こんなことを言っているから、世間の意識からどんどん遊離していくんだよなあ・・・この調子だと、これから税理士のポジションというのは益々危うくなっていくんだろうなあ・・・」

という感想を禁じえなかったのです。

 

このお話を少しきちんと振り返ってみたいと思います。

私はいったいこの話のどこにがっかりさせられたのでしょうか。

 

 

つづく