専門性もやがてコモディティー化するー会計とマーケティングの関連について考えるーⅠ
私たち会計事務所は「税務会計」を専門領域として、お客様にその専門的なサービスを提供しています。
「サービス」という言葉すら嫌う税理士先生がいらっしゃることは承知していますが、そのレベルのお話はここでは無視して論を勧めたいと思います。
さてそれでは、何故「税務会計」という言葉が成立しているのでしょうか?
それは「税務」の仕事と「会計」の仕事が不可分に隣接しているからにほかなりません。
我々は最終的にお客さんの決算の数字をまとめ、利益を確定したならば、そのデータをもとにして税務申告書を作成します。
つまり、会計の専門知識をもって、正確な企業業績を算定し、税務の専門知識をもって、間違いのない税務申告書を作成する訳です。
どちらの専門知識が欠けても正確な企業業績と正しい税務申告というのは完結しないことになります。
ここのお話は、今回の本来の主旨ではありませんのでこれくらいにしておきますが、いずれにしても「税務会計」という専門分野が存在することはご理解いただけると思います。
昔はこの専門性をもって決算を組み、正しい税務申告書を作成するだけで充分歓迎され評価されたのです。
ところが時代は変わりました。
会計に対する基本的な知識がかさ上げされたことと、PCソフトが普及したことなどによって、そこに関する処理が正確にできますよ、というだけでは大して評価されなくなってきたのです。
税務的な判断についてはまだ専門性が必要とされていますが、前段の会計に関する分野が省力化されたことで、「税務」と「会計」・・・ペアになっていた我々への期待は半減したことになります。
これは我々の仕事が収益を上げていく上で、かつてより厳しくなった内的要因の一つです。
つまり、専門性がコモディティー化したことを表わしています。
つづく