「今やる!すぐやる!私がやる!」は可能か?―「トライアル&エラーの勧め」再び―Ⅱ
昔「トライアル&エラーの勧め」というタイトルで論文募集に応募した経験を持つ私。
その私がインターネットで見た記事のタイトルは
「シリコンバレーと深センを回って判明「PDCAが日本の病の原因だ」
君たちは「決められない病」の患者か?」
というものです。
この中に次のような興味深い指摘がありました。
―中国の工作機械・ロボット関連の新興企業でも、社是の一つは「今やる!すぐやる!私がやる!」だった。
社長は30歳の元大学教員、やり手の女性営業部長は20代後半だ。
日本企業は、このスピード感についていけず、率直に言って米国や中国ではバカにされていた。
米国では、ベンチャーキャピタルの人からこんなことを言われた。
「日本の大企業はシリコンバレーによくやって来るが、1週間で投資決断できるようなことを、本社で稟議書を回して半年以上かけて決断する。
この間にビジネスの環境は変わる。
米国のベンチャー企業は、日本の大企業とは組みたくないというのが本音ですよ」―
これに似た話を大きな企業に勤める女性からも聞いたことがあります。
彼女の勤める会社の重役が、取引先のやはり重役にちょっとした挨拶の電話をかけるのに、何曜日の何時ごろが相手の都合が一番いいのか、お互いの秘書が何日もかけて何回も電話連絡をし合って決めていたというのです。
商談の電話ではありません。
単なる挨拶の電話なのです。
当の担当者であるその女性も、さすがにこれは効率が悪すぎるのでは、と疑問を抱いたようです。
確かにこのスピード感では世界の競争に負けてしまうででしょう。
しかし、根が深いと思うのは、特に歴史のある大企業の場合、こういう指摘が尤もだ、と思ってもすぐには企業内のシステムを変えられないだろう、ということなのです。
つづく