中小企業の最大の悩み「後継者問題」―ジェネレーションギャップの回避を可能にする方策とは―Ⅰ 

 

中小企業の最大の悩みの一つに「後継者問題」があります。

その多くは、事業を継いでいくものがいない、という悩みです。

事業を継承していきたくても、それを引き受ける相手がいないのです。

 

特に地方の場合、都会に出て行った経営者の子弟は、そのまま勤め人(給与所得者・サラリーマン)として都会に留まります。

彼らが田舎に帰ってくることはまれになりました。

 

かつて、といってももうかなり昔の話ですが、地方の商店主は、多少稼ぎのいい都会のビジネスマンよりもはるかに収入が多かったのです。

日本がまだモノ不足で何でも飛ぶように売れた時代の話です。

 

そんな売り手主導の時代から、買い手つまり消費者に主導権が移ってかなりの時間が経ちました。

こうやって立場が逆転した今の日本で、これが覆ることは当面考えられません。

あれほど繁栄した「商売」という一つの産業が、まるで儲からない時代になったのです。

 

ということは、都会で安定した職業に就いたかつての後継者候補たちが田舎に帰ってくる確立はかなり低いと言えましょう。

日本の産業構造が大きく変わり、日本人のライフスタイルも変化したために、そういった生き方そのものが後継者不足に反映されているのです。

 

さて、これはこれで大きな課題なのですが、事業承継にはもう一つ見過ごせない重要な問題があります。

この問題の解決は必要不可欠であり、一方で極めて難しいという現実があります。

 

 

つづく