「働き方改革」というけれど・・・―「和」とパフォーマンス―Ⅴ(おしまい)

舵取りが難しいと言われている現代の経営に対して、どんな時にどんな専門性の組み合わせが有効であり最適なのか、といった判断は、まだまだコンピュータにできるものではない。

人間がアイディアを出して、何と何を組み合わせれば有効なのか、判断しなければならないのである。

 

組み合わせのアイディアは当初、曖昧で抽象的、ボンヤリとした輪郭しか見えない場合が多い。

組み合わせ先候補の専門性がまだハッキリと具体的に掴めていないからである。

コンピュータは、その具体的な組み合わせ先などを検索するときには威力を発揮するが、最初に必要とされる発想が出てくる訳ではないのだ。

 

まあ、当たり前といえば当たり前の話である。

どこでコンピュータを有効に使うかも人間にしか判断できない。

最適なポジションを考え、棲み分けをすれば人間の出番はいくらでもあるのだ。

 

また、組み合わせの先にあるのはオリジナリティということになる。

斬新な発想による、ユニークな組み合わせであれば、それはやがて独自なものとして認知される。

ここではマーケティング的なセンスも問われることになるだろう。

 

こういった組み合わせによる新しい価値創造に最も長けていたのが、スティーブ・ジョブズだったと言われている。

彼は、既存の技術の組み合わせによって新しい価値を創造する天才だったのである。

 

表面的な「生産性の向上」ということでいえば、プログラミングを含めたコンピュータの高度利用といった結論になるのだろう。

しかし、もっと深いところでは上記のように「考える」「企画する」「創造する」といった人間にしかできない特性を加えて行かなければ、本当の「生産性の向上」は達成できないのではないかと思う。

 

 

おしまい