日本の現状は「低価格原理主義」―悪循環の行き着く先は荒廃した市場―Ⅲ

さて「カット・スロート・コンペティション」・・・(安売りの価格競争は自らの)喉をかき切るくらい愚かな競争だ、とアメリカでも言われているくらい、避けるべき手段であるはずだが現実はどうであろうか。

 

これに対して日本の現状はどうか、という点について茂木会長は次のように述べておられる。

― 日本では価格は安ければ安いほど消費者のためになり、経済のためにもなるという「低価格原理主義」が根強く、商品の価格をどんどん下げていく企業が多い。―

 

アメリカが避けるべきとしている「カット・スロート・コンペティション」に対して、日本の現状はいまだに「低価格原理主義」である、と茂木会長は言われる。

その通りであれば、生産性を上げて経済の国際競争力を高める、といった状況にもって行くのはなかなか難しいだろう。

 

この「低価格原理主義」が生む価格競争について、茂木会長は次のように述べておられる。

― 価格競争はきりがなくなる場合が多い。

差異化しづらいから仕入れた商品や作った製品の価格を下げるというのは、最後の手段のはずだ。

しかし、日本ではそれを安易に使ってしまう。―

 

まさに茂木会長の言われるとおりである。

最後の手段である「安売り」という選択にあまりにも早く飛びついてしまう。

 

そもそも差異化(=差別化)には、様々な工夫が必要だ。

それは見せ方であったり売り方であったり、その商品の持つ背景や効能に対する納得性の喚起であったりと、差別化を受け入れてもらうための顧客との情報共有が必要なのである。

そういった努力を全くなさないままに、いきなり価格競争に飛び込んでいくのは愚かな行為であろう。

 

 

つづく