資格穴熊に明日はない―専門性と独自性の間(ハザマ)を考える―Ⅱ
企業顧問の争奪を巡る競争の中で起こる現象。
それは、規定された専門性を提供する立場だった税理士に、顧客側からある種の「独自性」が求められるようになるということです。
「大体、税理士の提供する一般的なサービス(専門性)の中身はわかった。それでは、あなたの事務所はどんな特別なサービスを提供してくれるの?」
となる訳です。
今まで、これに対する答えを税理士は持ち得ませんでした。
何故ならば、資格要件の範囲の中で獲得した専門性でこと足りると思っていたからです。
しかし、その範囲の中であれば、同等のサービスを提供できる税理士は既に7万人を超えています。
顧客は、どういったことを基準に税理士を選べばいいのでしょうか。
最も手っ取り早いのは値段で差をつけることです。
「うちは顧問料を安くしますからどうぞいらっしゃい。」
ということになります。
しかしこれは、言うまでもありませんが税理士側にとって最悪の選択です。
そもそも値段を下げるというのは、独自性でも何でもありません。
苦し紛れに愚者が行なう最も愚かな選択なのです。
とはいえ、同一のサービスを同一の資格で多くの専門業者が提供するとなると、過当競争は避けられません。
過当競争は、どんな業界においても価格の引き下げ圧力を生みますので、税理士の世界でも低価格路線に走る人が出てくるのはやむを得ないとも言えます。
税理士自身が、自らの専門性の範囲を一歩も出ないという選択をしたならば、低価格競争は不可避な事態となります。
こんな事態は避けたいに決まっているにもかかわらず、この穴熊的発想の税理士が多いことも事実です。
つづく