ITは必要条件にすぎない―仕事の生産性とリスクについて考える―
Ⅱ
個人としては「モバイル型テレワーク」的働き方は可能だとしても、問題は組織としての考え方です。
「モバイル型テレワーク」が普及しない点についてのインタビュアーの質問に対して次のように述べておられます。
――モバイル型テレワークは、先ほどの「仕事をやる自由」にもつながるかと思いますが、日本では大企業でさえ6割がノートパソコンの社外持ち出しを禁止ししています。
【森永氏】私はノートパソコンの持ち出しどころか、会社での私用メールも全部解禁すべきと思っています。
知的創造社会になっていくと私用か社用かの区別は難しいんですよ。
それに経営者はITのための費用を特別なコストと見なしがちですが、文房具代のようなものです。
ITを入れたからといって、それがビジネスのネタになるわけじゃないけれども、ITは必要条件であって、なかったらそもそもビジネスになりません。
コンピュータでできることはコンピュータでやった方が人件費より安い。
IT活用をためらっているようではビジネスが持ちません。―
確かに、私の職場に出入りする銀行員なども同じようなことを言っています。
彼らは、すごく当然といった感じで
「パソコンの持ち出しなどとんでもない話です。」
と言っているので、私も「そうなのかなあ・・」と思っていました。
しかし、そろそろ森永氏が述べておられるようにもう少し考え直してもいいのかも知れません。
これは、情報流出とその責任追及を極端に恐れる大半の日本企業の体質を物語っています。
つまり、セキュリティーの問題なのでしょうが、なんだか硬直しているなあ・・とも思います。
つづく