経営者の力量は自らを客観的に見ること―素人の目線に立てるか―Ⅱ

専門性というのは、それをわかりやすく他人に伝えるのは難しい・・・・・

とはいえ、長年その世界にどっぷりと浸かってきた当人には、どこまでが専門的でどこからがそうではない世界なのか、その境界線が判然としません。

そんなとき、先述しましたように、自らを俯瞰して見てみる、客観的に見た場合どうだろう?と考えてみる、という癖をつけてみたらどうか、と提案したいのです。

 

そう難しい話をしているのではありません。

自分と反対側、つまり顧客の側に立ったならばどうなるだろう?と想像してみるのです。

 

例えば先ほどサンプルとして提示した小難しい文章は、価格(値段)を決めるときの考え方を述べたものです。

再び引用してみます。

「製造過程におけるコストは、顧客が製品に価値を認めるかどうかとは無関係な要素であり、むしろ、価格は、顧客の需要や競合製品との相対的な関係から見た製品品質との関係から戦略的に決定する必要があります・・・」

これを一読して理解できる人は少ないのではないでしょうか。

 

この文章を極めてわかりやすく言い直せば

「現代は、価格というのは、原価や経費がいくらいくらかかったからといった条件で決めるものではなく、顧客側の事情や競合製品の動向など、周りの状況を配慮して決定しなければならない。」

といった意味のことを述べているのだと思います。

しかし、表現がいかにも固いので、あのまままくし立てられたら、おそらく何を言っているのか理解不可能でしょう。

 

内容はあくまでも専門的に、しかしその表現はできるだけ分かりやすく、というのが、情報発信をする際のコツのようなものです。

そのためには、絶えず

「俺の話は素人にもわかるだろうか?」

といった、自分を客観的に見る癖をつけておいてはどうでしょうか、というのが私の提案です。

 

 

おしまい