イケメンにはイケメンの悩み―そこを打破したアラン・ドロンの魅力―Ⅱ

アラン・ドロンのようなイケメン俳優は、その美貌に頼って演技は下手だし深みもない、と言われる・・・

というようなことを考えていたら、先日、アラン・ドロンについて面白い人物評に出会いましたのでご紹介しておきます。

どこかのBS放送でアラン・ドロンの特集月間という企画が始まるのに先立って、女性の評論家がしゃべっていた言葉です。

 

―フランスではかっこいい男と、いわゆるイケメン的ないい男(美男)は区別しているところがあって。かっこいい男はジャン・ギャバンやリノ・ヴァンチュラなどで、ドロンはあくまでもいい男。かっこいい男の前では、いい男は一段下がるという感じで格差がある。

今は大分変わったけど、ルックスだけではかっこいい男にはなれない、顔だけの男なんてのは所詮そこまでよ、というフランス人特有の皮肉です。そういう価値観の中で、ドロンはフランスではいい男でもここまでできるといった、イケメンの価値をあげた存在なのかもしれない。―

 

「イケメンと言われれば、それだけでいいじゃん。といった甘い理屈はフランスでは通用しない。ちゃんと中身がともなったカッコよさがなければ意味がない。その点、美男は自分に甘くなりがちなので、イケメンのいい男はカッコいい男には成れないし、存在しない。」

というのがフランス人の、特にフランス女性の理屈なのでしょうか?

 

いやはや、ハードルが高いものであります。

こんな前提があったら圧倒的な美男子アラン・ドロンは苦労しただろうな、と察しがつきます。

 

 

まあ、とはいえ先の女性評論家の言葉のように、アラン・ドロン様はそのジンクスをなんとか覆したのでありますから大したものです。

そんな厳しい役者環境の中でも日本での人気は何年間も圧倒的で、彼もことさら日本びいきでもあったようです。

彼の映画、久しぶりに観たくなりました。

 

 

おしまい