イケメンにはイケメンの悩み―そこを打破したアラン・ドロンの魅力―Ⅰ

 

このブログでもフランの俳優アラン・ドロンについては何回か触れてきました。

 

団塊の世代及びその上の世代にとっては、絶大なる人気を誇っていた二枚目俳優です。

もう80歳を超えていますので、若い世代の人たちにはあまり馴染みはないかも知れません。

先日、俳優からの引退を発表しましたが、多くの映画に出演し、特に日本での人気が極めて高かったのです。

 

代表作には文芸大作からサスペンス、犯罪ものまでいろいろあります。

これまで私が観て「カッコいいなあ・・・」と思ったのは「太陽がいっぱい」「サムライ」「シシリアン」「冒険者たち」「仁義」といった作品です。

いずれの映画でも不良青年や犯罪者的な役回りで、主人公であってもわき役でも常に「悪い」二枚目を演じていました。

特に主人公を演じている若い頃の「太陽がいっぱい」、少し年を重ねてきてからの「サムライ」などは、そのクールさ美青年ぶりが際立っています。

「サムライ」のアラン・ドロン

LE SAMOURAI, (aka THE GODSON), Alain Delon, 1967.

 

ただ、脇に回ったときの「シシリアン」「仁義」などでは、ジャン・ギャバン、イヴ・モンタンといった個性派俳優に若干食われ気味で、損な役回りと言えなくもありません。

「冒険者たち」ではリノ・ヴァンチュラとのダブル主人公のような役割ですが、やはり、リノ・ヴァンチュラの魅力の方が勝っているように見えます。

こういった映画が何本か続いたせいか、

「アラン・ドロンは2枚目だけど、そこだけが取り柄の役者だからなあ・・・・」

と言ったレッテルを張られることになったようなのです。

 

そんな彼の立ち位置を見ていると、かつてビートルズが

「人気はあるけど演奏は下手くそだからなあ・・・」

と揶揄されていたことを思い出します。

専門的なことはわかりませんが、

「ビートルズは決して下手などではなかったんだ。」

という評論を読んだこともありますので、人気ゆえの中傷だったのかも知れません。

アラン・ドロンも似たようなそしりを受けたのかも知れないのです。

 

 

つづく