専門職と広告宣伝について考える―何故知らせる必要性があるのか― Ⅵ
さて、ここで冒頭の医者の同級生の話に戻ります。
彼は
「広告宣伝を無制限に許すと、宣伝ばかりうまい医者が幅を利かして業界のためによくないのだ。」
と言いました。
彼のこの言葉には、そもそも広告宣伝に対する誤解と悪意があります。
それは広告宣伝というものを、その本質を見ようとせず、うまいか下手かだけで判断しようとしているからです。
広告宣伝にうまい下手があるのは事実ですが、もっと大事なのはそれが的確なものかそうでないか、ということです。
正しい情報を利用者或いは消費者に伝えるものであるかどうか、といってもいいかも知れません。
的確なものであれば、それは利用者或いは消費者にとって重要な事前情報になり、健全な消費活動をサポートすることになります。
逆に不適格なものであれば間違ったメッセージを与えることになり、利用者或いは消費者にとって不利益をもたらすことになります。
我々専門士業は、その専門性や得意分野などを、利用者に対して的確かつわかり易い情報として伝えなければなりません。
そのためには、利用者の立場に立ってみて、どう伝えたらちゃんと伝わるだろうか、ということを謙虚に研究してみる必要があるのです。
利用者側としては、そういった情報によって、より深く専門性や守備範囲というものを知る必要があります。
そして、その広告のうまい下手だけに惑わされることなく、的確な情報をつかみ取る見識を持たなければならないのです。
おしまい