専門職と広告宣伝について考える―何故知らせる必要性があるのか― Ⅲ
しかし、これはある意味矛盾しています。
一般人が知り得ないような高度な専門性を売りものにしておきながら、一方でその説明の必要性はないと言っていることになります。
つまり、よくわからないから人は頼むのであって、事前に何の説明もないというのは不親切と言わざるを得ません。
こういった態度は、
「そもそも国家資格で保証されているくらいの制度なのだから、大まかなことは世間の方が知っておくべきだし、知っているだろう。」
という前提に立つことになります。
で、そう言いながら
「とはいえ、細かい専門的なところはどうせわからないだろうから、そっから先は黙ってお願いしていればいいんだよ。」
ということにもなります。
これはつまり
「高度な専門性があるということだけ理解しておけばそれでいい。あとはこっちに任しとけば良しなに計らってやるから。」
と言っていることになるのです。
また
「細かいことはいいから、税金のことで困ったらこっちに頼めばなんとかしてやるから。」
みたいな話で、上から目線の随分乱暴なメッセージということになります。
実際昔は、細かいことを聞こうとする納税者に対して露骨に嫌な顔をする税理士もいたといいます。
これは、インフォームドコンセントを嫌う医者の態度とよく似ているかも知れません。
医者の世界と同様、税理士の世界に対してもセカンドオピニオンを要望する納税者の動きが見られるようになってきました。
つづく