父が逝った―亡くなるまでの1週間を振り返って―Ⅴ
実は入院させると決まってから病院には「ずっと付き添ってください。」と言われていた。
病院側では目が届かないので、夜も誰か泊まり込んで一緒にいてくれ、というのだ。
これには私は少し抵抗があった。
家族が四六時中付き添っていなければならないのであれば、病院に入った意味がない。
いろいろケアしてくれての病院であろう、と思っていた。
しかし、今回の父のようなことがあったとき、病院側はずっと見張っている訳ではないので、防ぎようがないということなのだろう。
特に夜は、35床の患者に対して当番の看護婦は2名しかいないために、細かいところまでは目が届かないという。
「ずっとついていなくちゃならないのであれば、家族の負担は大きいなあ・・・」
と思いつつ、付き添っていたのである。
その日の夜は、母が付き添って泊まることにした。
父の病室は特別室でスペースは充分あるのだが、付き添い用のベッドが準備されておらず固くて幅の狭いソファーが用意されただけであった。
ここに一晩寝るのはつらいよなあ・・と思いつつ、夜になって私と家内は母を残して病院を後にした。
次の日は日曜日だったので、午前中に病院に向かい、昼前に私が母と交代し、父を見ていることにした。
母は病院のソファーではほとんど眠れなかったようだ。母を家内が一度家に連れて帰る。
つづく