税理士事務所経営を考える―考えない仕事から推測されるいくつかのこと―Ⅱ

そこで私は、直ちに職員に向かって

「これからは、決算書は2期比較のものを打ち出すように。」

と指示したのです。

 

そうなのです。

私の事務所はそのずっと以前からコンピュータ会計を導入しており、2期比較の決算書などとっくに対応することができたのです。

すでに年配だった父がそのことに気が付かなかったのは仕方がないにしても、若い職員たちがそのことを知らない訳がありません。

 

ここではいくつかのことが考えられます。

  1. 『赤書き』は以前から、そうするように、と言われていたのでただ続けていた。
  2. 2期比較決算書の存在は知っていたが、『赤書き』は別のことと解釈し黙っていた。
  3. 2期比較決算書があるので『赤書き』が変だとは思っていたが、余計なことと思い黙っていた。
  4. 2期比較決算書と『赤書き』がそんな関係にあるとは思いつきもしなかった。
  5. そもそもそんなことは考えたこともなかった。

ここで大切なことは、仕事をどう考えるか、ということです。

私は、決算で忙しくなる月末に、総務が

「『赤書き』がありますので・・・」

と、結構時間をとられることに疑問を感じていました。

それでも、父の事務所で働き始めた最初の頃は、この業界のことはさっぱりわからなかったので

「何か大事な仕事の一つなのだろう。」

と見逃していたのです。

しかし、先述のようにその内容を知った瞬間、変更を命じました。

 

つづく