私の少し困った原点―経営に関わることで頼りになる存在へ―Ⅴ(おしまい)

さて、本来であれば、その時代から我々の職業意識も随分変わったものになっていなければならないと思う。

しかし、その点に関しては変わったなと思う部分と私が原点で感じた部分がまだ相半ばしているなあ、という感想である。

 

私は、税理士が仕方なく選ばれる立場のものであるならば、是が非でもそこから脱皮した存在になりたいと思っていた。

そのためには「間違うと御上が怖いから、あまり乗り気ではないけれど税理士に頼んでおくか・・」と思われていたのでは、そんな存在にはなり得ない。

 

せっかく先輩方が「月次監査」という手法を編み出してくれたのだから、これを役立てない手はない。

月々監査するということは、その時点では直接決算とは関係がない。

その顧客の期中の会計処理や財務状況を見ることになる。

 

これは、その見方を工夫すれば、顧客の経営にタッチできることになるのだ。

経営者は迷うことの多いポジションだ。

すべてとは言わなくても、せめて数字の部分だけでも相談相手がいるのは心強い。

 

税理士事務所は、もっとこういった立場を強調するべきでなないか、と思う。

というのは、そう言う立場を取り始めているということは、それほどまだ顧客側に伝わっていないからである。

 

把握した数字データをもとに顧客の経営に資するとすれば、税理士は頼りになる存在という点で支持されるだろうと思う。

そうすれば、私がこの職業の原点で感じた何とも言えない複雑な思いは随分払拭されるのではないか。

そんなことを思いながら日々仕事に向き合っているのである。

 

 

おしまい