経営者が伝えなければ伝わらないこちらの世界―「経営の苦労」を伝えるのは捨てる―Ⅴ
さて、経営者が世の中に伝えたいコンテンツに、「専門性」と「経営」の両者がある中で、まず「経営」の方から説明したいと思います。
「経営」について語るとき、経営者が日常接している世界は、一般の人にはわかりにくいだろうと思います。
多くのリスクを抱えて組織を運営しなければならない立場と、その組織から給与という形で報酬をもらう立場では明らかにプレッシャーの受け方が違うからです。
こういったプレッシャーを含めて、何かを達成した時の喜びの大きさとか、経営に関わっているが故の面白さがいろいろあることは確かです。
しかしながら、すべての人にこの「経営の世界」或いは「経営者の苦労」というものを伝える必要はありません。
というのは、「経営の面白味」となると興味を示す人が、かなり限られると思うからです。
世の中で、リスクを厭わず、経営を目指すタイプは少数派と言わざるを得ません。
私がここでお勧めしたいのは
「経営者が、『経営』という立場を少し離れて『専門性』の方にやや軸足を置いて我が社をアピールしていただきたい。」
ということです。
というのは、限られた時間の中で自社のことを何か訴えるとすれば、「経営者の苦労」よりも「専門性の面白さ」の方が断然興味深いからです。
どうせ伝わりにくいのであれば、「経営の苦労」の方は捨てて「専門性」の方を上手に伝えるよう注力しましょうよ、という提案なのです。
つづく