自動化の行き着く先・・AI(人工知能)について考える―我々は仕事において何をなすべきか―Ⅳ

さて、それから10年以上の歳月が流れた。

世の中にクラウドコンピューティングなるものが登場し、我々の業界に関してはクラウド会計なる世界が出現したのである。

 

私は、会計の最も原点に当たる入口は「仕訳」だと思っている。

「仕訳」では世の中のあらゆる経済的な取引を右(貸方)と左(借方)に分けて表現する。

その右と左に、それぞれ「科目」と呼ばれる経済取引における様々な名称を当てはめて分類していくのだ。

 

遠い昔を振り返ってみると、これには相当戸惑ったことを思い出す。

「借方」と「貸方」って一体なんだ!?

 

この適正な「当てはめ方」を覚えないことには、会計の作業は始まらない。

今でもお客さんを監査に訪れた際には、適正な取引仕訳が行なわれているかチェックするのだ。

 

ところがこの最も原点である「仕訳」を、クラウド会計ではコンピュータに読み込ませようというのである。

「仕訳」は様々なケースが多すぎて(種類が多すぎて)自動読み込みなど不可能だと思われていた。

 

しかし、AIの持つ世界観を学習すれば、それがそれほど難しい分野ではないことが理解できる。

むしろもっと微妙で繊細な読み取りの世界をすでに実現しているのだ。(顔認証とか表情認識とか・・)

 

私は「仕訳の自動読み込み」が、楽な操作で可能になったならば、経理業務というのは、あとはスルスルっと簡単な世界だろうと思う。

それを振り分けていくのはコンピュータにとってさらに得意な分野だからである。

 

ということは、我々が行ない料金を頂いていた「記帳代行」という分野は消えてなくなるのだ。

しかし、こんな事実は、なんのことはなく受け入れなくてはならない。

 

つづく